79話 あさりちゃんのワンダーランド④

感動の(?)再会

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怪物を見て、あさりは走って逃げます。その最中転んでしまった拍子に、急な坂道を転げ落ちてしまいます。そして後頭部を何かに強打。あさりの頭を掴んだのは、なんとシージャックさん。

あさりも会えた事を喜んでいます。シージャックさんは喧嘩腰ですが。

ここに残りの二人も加わる

ここでシージャックさんが「宝の地図」を持っている事が発覚。それによると、昔海賊が埋めた、時価300億円の宝がこの近辺に存在するとの事。あさりがシージャックさんに擦り寄ると、竹やりを使ってあさりの身動きを取れなくします。そして

「三百億あれば、自分専用の劇場建てて、毎日ワンマンショーやるんだ。」

と、高笑いしながら去って行きます。何にどうお金を使うのは個人の自由ですが‥。

ここで、怪物探しから戻ってきたママとタタミが登場。あさりがシージャックさんと再会した事とと宝の地図の事を話します。で、宝を求めてあさりの記憶を頼りに宝があると思われる方向に3人で歩いていくも、シージャックさんが妨害。挙句、シージャックさんが紐を引くと、あさり達の頭上に檻が落ちて来て、3人は閉じ込められます。無人島でこの仕掛けをどうやって作ったとか突っ込むのは野暮なのでやめときます。

シージャックさんが向かった先は、ほら穴。するとほら穴の入り口に例の怪物が立っていました。シージャックさんは歯が立たず、檻の中のあさり達にすり寄ります。宝の半分ならぬ三分の二をあげる、と言われ交渉成立。

カオスな展開に

怪物を何とかしないと、という事で作戦会議。ママは、まずあさりが飛び出し怪物の気を引き、その隙にタタミとシージャックさんが怪物を取り押さえるように、と言います。

アラフォーともなるとこの位たくましくなければならないでしょうか。自分が同じシチュエーションに遭遇してもさすがにチョップはしないでしょうが。

いざ実行すると、それなりに順調に進み、いよいよママの空手チョップの瞬間です。が、ママは怪物に手を食われます。ママが痛がってのたうち回ると、怪物は暴れ出し、タタミは下半身を食われ、あさりとシージャックさんは木に登って避難。もう何が何だかわかりません。
あさりはパニックになりながら、名案を思いつきます。それは今すぐ「シージャックさんが歌う」というもの。シージャックさんはその提案を嫌がりますが(下手だと思っていないため)、危機が迫ってきて、あさりは早くしろ、とせっつきます。再び「ハッとしてGOOD」を歌うと、怪物は白目を剥いて気絶。

「やったあ、シージャックさんえらいっ。」

「うまい。さすが」

「地獄の天才シンガー。」

と、あさり達3人は狂喜乱舞。シージャックさん呆然。そして歌手に向いてない事を自覚(おそい)。

「そんな事より」と4人は宝のもとへ走ります。

宝ゲット。そして‥

ほら穴に宝箱があり、4人で奪い合いになった末、あさりが一人で持って逃げ、ワクワクしながら開けます。するとそれはびっくり箱で、あさりは顔面を強打。その瞬間、見知らぬ少年が、腹を抱えて笑います。シージャックさんの「耳元で歌うぞ」の脅しで、少年はいたずらで地図と宝箱を用意した、と白状し、怒った四人は少年を袋叩きにします。すると、「おめえらっ」の声が。その声の主は少年の父親で、

「おとといのシケの日にかってにこの島に上陸したのはおめえらだな。おまけにうちのイヌをしばりあげるなんざ、とんでもねえやつらだ。」

と怒鳴ります。

あさりとタタミが「イヌ?」と顔を見合わせると、例の怪物は「太り過ぎて四足歩行が出来なくなった」イヌだと言うのです。四足歩行出来るように戻してあげてくれ。

さらに話を聞くと、山からむこうはホテルもあり栄えていて、全然無人島なんかじゃない、という事がわかり、4人とも泣き笑い。
そしてパパも島の人に助けられ、病院に入院していました。パパから「アドベンチャー号の製作は中止」と聞いて、これまでの事が全てくたびれぞんだったという事で、ママは気絶
シージャックさんは少年のお父さんが山番に雇ってくれる事になり、島に残る事に。最後の最後まで残念さを露呈。

最後は大きな船で、3人とも卑屈な笑い方をしながら、帰って行きます。おしまい。

全体を通しての感想など

前半で一度似た光景を見てるとは言え、シージャックさんの歌で犬がぶっ倒れるのはやはり衝撃的です。船で歌った時はあさり達から大顰蹙だったにも関わらず、今回は歌い終わると、あさり達が大絶賛してて、シージャックさんが呆然、という絵が非常にシュールです。
んで今回見てて改めて思ったのが、シージャックさんの人物描写として、彼はあまり性格良くないかも?と。船を乗っ取ろうとしたり、自分の歌を貶されると激怒する時点で結構あれでしょうけど。そして、そもそもですがイカダをシージャックする、という発想自体が想像力なさすぎです(これはタタミも指摘していた)。となると彼の取り柄は顔だけと言う事になるでしょうか(取り柄があるだけまだ良いのか?)。
そして謎の怪物なんですが、、まさかの正体はイヌ。これまであさりに寄ってきたりしたのは、単に懐っこいだけだったみたいです。「太りすぎたゆえに二足歩行しか出来ない」というのも誰も想像つかないオチでしょう。

思うに当時の読者の大半が子供で、まだ長編漫画というものの面白さや読み方を理解しきれない子も多かったんではないかと思います。話の内容が理解できてなくても、絵を見ただけで笑いが起きるように、いつもの1話完結の時と同じ位のテンションで、随所にギャグを盛り込むようにしてたのかな、とそんな感想を抱きました。内容をよく理解出来てる今でも普通に絵で笑いましたけどね。
世界一周、シージャックさん登場、イカダ転覆、無人島に漂流、怪物、宝‥と、広げた風呂敷をどうたたむのか?というところは、最終的に全員集合して、カオスな事態になるも、シージャックさんの歌で収束に向かいます。そこら辺もギャグも交えてうまいことまとまってたと思います。
最後のページに「’80.10.6」と日付が記載されてるんですが、室山先生も「仕事をやり切った」感があったんでしょうか。

というわけでこれで初の大長編は終わりです。改めて言いますが、久しぶりに読み返したんですが、面白かったです。

ちなみになんですが、室山先生はジャニーズ好きを公言していて、田原俊彦さんのコンサートに行った事もあるそうです。「ハッとしてGOOD」も歌ってたようですが、「期待したほど下手ではなかった」との事。同じ時期に活躍してたアイドルで、かなり酷い歌唱力の女性アイドルがいるんですが(名前は伏せときます)、どうも中毒性があるようで、ちょいちょい動画で見てしまいます。


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