かくして船旅が始まった
①の続きになります。
好きです、このムチャクチャ感。
船で早速パパが、各々の役割分担を決めようと言い、ママはニコニコしながら、パパを船長にします。が、パパは海図の見方すらわからないらしく、あさりは心細さを感じます。その知識の無さでなぜこの計画を引き受けた?
突如現れた男は
あさりがパパに空腹を訴え、一人で食糧のあるところに行きます。あさりが食べ物を探していると、背後にナイフを持ってしゃがんでる男がいました。あさりがナイフを突きつけられ、悲鳴を上げます。三人が集まったところで男は言います。
おとなしくしろっ。この船は、たったいまおれにシージャックされたのだ。
あさりを人質に取りながらさらに男は「アメリカに行け。言う事を聞かないとどうなるか」と続けます。
で、この時の男と浜野家のやり取りなんですが、男に対して、浜野家全員で徹底的にボケ倒します。
最終的に男は海図の見方などもわかる、という事で4人に拍手され、歓迎されると言う始末です。
もはやシージャックとは言えないのでは?
男の目的は
そのまま夜を迎え、あさり、タタミ、男(あさり達がシージャックさんと呼ぶので以下そのように表記)が甲板で星を見ながら寛いでいると、突如シージャックさんは「日本なんか嫌い、沈没しろ」と叫びます。あさりとタタミは何故そんなに日本が嫌いなのかと聞くと、シージャックさんは、俺は歌手になりたかったんだ、と話し始めます。レコード会社の人間にルックスだけの歌手、と笑われて、アメリカで修行して一流のシンガーになって見返したいんだ、と話し、あさりとタタミは「かっこいい」とおだてます。シージャックさんは気分が良くなり、田原俊彦の「ハッとしてGOOD」を歌う、と言い、あさりとタタミは喜びます。
ここまで読んでお分かりだと思いますが、シージャックさん、色々と残念な人です。
アドベンチャー号に激震が走る
で、シージャックさんの歌というのが、人を殺せそうなものだったわけです。
海の魚→死んで浮いてくる、タタミ→座ったまま気絶、船→ひびが入る、というように、歌の酷さを表す表現として非常にわかりやすく描かれてます。もはや大量破壊兵器です。
あさりがダメ出しし歌を止めると、ママも「今の雑音は何だ」と怒鳴り込んできます。歌という認識さえ不可能なようです。浜野家全員がシージャックさんに怒ってるわけですが、ここでまた「日本の音楽レベルは低い、日本なんて嫌いだ」が始まります。色々残念な人、と先ほど書きましたが、この人完全にアホです。シージャックさんは歌を貶され怒り、4人にナイフを向け、
おれの歌を笑うやつはひとり残らずミンチにしてやるぜ。
と言い、あっさり4人に袋だたきにされます。
そしてさらなる展開が
シージャックさんを縄でぐるぐる巻きにして甲板に放置して4人は小屋で寛ぎます。その直後雨が降り、嵐が起きます。
ものすごい雨と風で、船はすごい勢いで揺れます。そしてシージャックさんを筆頭に、あさり、ママ、パパ、タタミの順に船から去って行きます。
絵的にはバリエーションに富んでますが、最終的には全員海の中です。ていうかママのしがみついてる棒に「専務婦人」と書かれてる旗があるのが何だか泣けます。
この後果たしてどうなるのか。続きます。
シージャックさんが登場という事で
シージャックさん、非常に濃いキャラです。外見はカッコよく描かれてるんですが、中身がアホ、という阿鼻叫子に通じるキャラだと思います。登場シーンは浜野家全員がボケで、シージャックさんがツッコミ、という図式になっていて、4人全員でボケる、という状況もなかなか無いでしょう。大長編だからこそこういった尺が取れるというのもあるんじゃないでしょうか。その後驚異的な歌唱力を見せてから嵐が起きるまで、非常に展開が早くテンポがいいと思います。シージャックさんがここで歌を披露したのはこの後の展開の伏線になるのか?という印象を受ける人もいるのでは。
で、シージャックさんがボコられた後タタミが、
一対四で勝てるかばか。
と吐き捨てるように言うんですが、最初からシージャックするのは無理って事じゃん。
ここまででページ数としてはちょうど全体の半分くらいになります。なので次回からは後半に入ります。