せっかくなのでBGMにしながら記事を書いてます
13巻のラストは大長編で締めになります。長いので何度かに分けてのレビューになりますが、今回は最初ということで、説明が多くなりますが、導入部分だと思って読んでいただきたいです。
まず最初に伝えておくと、この話はワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」がモチーフになっています。「ジークフリードという名の騎士が聖なる剣で悪いドラゴンを倒し、ドラゴンの返り血を浴びたジークフリードは不老不死の英雄になった」という内容が簡単に書かれてますが、この事を踏まえた上で今回の話を読み進めて下さい。
RPGのオープニングのようだ
あさりは夜中パジャマ姿で一人で叫んでいました。タタミはあさりの元へ行き、文句を言いに行くと、あさりは目が座った状態で「勇者はめざめた。勇者はたたかう。」と連発。タタミと喧嘩に発展し、ママが仲裁に入ります。すると、どこからともなく声が聞こえて来ます。
「勇者よ。選ばれし勇者たちよ。時間をこえて我のもとへきたれ。そして、我とともに戦え!」
タタミとママは信じられず空耳かと思いますが、その直後体がグルグルと回り始め、三人は渦の中に吸い込まれて行きます。
55話で登場したドラゴンと同じビジュアルです
いつの間にか渦の中から出たと思うと、三人は見知らぬ森に放り出されます。すると近くの川の岩場で座っていた女性が三人に話しかけます。メリュジーヌという名前の美しい女性は言います。
メリュジーヌ「あなた方は、二十世紀から時間のうずを超えて、ここへやってきたのです。」
あさりはメリュジーヌの美しさに思わずうっとりします。が、タタミとママは「あんなのたいした事ないわよ」という典型的な妬みのコメント。
メリュジーヌはあさり達の事を勇者だと言い、力を貸してほしくてここへ呼んだのだと言います。メリュジーヌの依頼は「にくきジークフリードを倒してほしい」というもの。タタミはそれを聞き、怒ります。
タタミ「ジークフリードは、ドラゴンを退治した英雄よ。それを”にくき”だなんて‥。あんた、いったい何者よ。」
この時、あさりとママはきょとんとしてます。教養のあるタタミがいなかったら誰も突っ込めなかったでしょう。
タタミの言葉を聞いて、メリュジーヌの表情がひきつり、姿がみるみる変わっていき、最終的に醜いドラゴンの姿になります。
あさり達はドラゴンに変わる姿を見て「この世の地獄」と言ってましたが、心の傷にならないといいですが。
交渉は一応成立
ドラゴンによると、ジークフリードはある日突然やって来て自分の父親を殺した上に、ドラゴン一族の宝である”ラインの黄金”という指輪を盗んだのだと言います。ドラゴンはあさり達にジークフリードを倒す事を協力しなければもとの時代には帰さない、と言います。不老不死の人間にかないっこない!という主張に対し、それならば指輪を取り戻してくれるだけで良い、と言います。ならばドラゴンが自分で行けばいいじゃないかとあさりが突っ込むと、ドラゴンはあさりをぶちながら、「水竜(ウォータードラゴン)」であるため、水から離れてしまうと死んでしまうのでジークフリードのもとへは行けないんだ!と怒ります。あさりはドラゴンにぶたれた怒りで尻尾に噛みつき、血が滲みます。これが後々あさりにある能力をもたらします。
かくしてあさり達の指輪探しが始まりました。
ちなみにここに至るまであさりとタタミはパジャマ姿です
これ以上無いくらい唐突に異世界に行ったあさり達です。「もとの時代に戻る」というセリフがあるという事は、タイムスリップしてる、という捉え方をして良いのでしょう。
これまでの大長編はパパの出世やら金やら宝石やらといったものに対する欲があさり達の行動を左右してたわけですが、今回は突然違う時代に行き、突然無理難題を吹っかけられる、というもの。それでも当然何とかして元の時代に戻りたいので「仕方なく行動する」感が序盤から出ています。勇者と言われてはいるものの、あさり達に何か大義があるわけではない、というのがポイントでしょうか。
あと、今回読んで思ったのが、タタミとママは美人に厳しいようですね。あさりは結構素直に褒めるので、綺麗な女性が好きなんでしょうか。
続きます。