読みながらビューティーコロシアムって番組があったのを思い出した
あさりが美少女ではない、という事は読者はよく知っていると思います。今回は外見がテーマ。久しぶりに読み返しましたが、かなりえぐられる内容です。
あさりと同じ学校にいるのかは不明です
あさりの家にメアリちゃんという女の子が遊びに来ます。思わずママもタタミもため息をついてしまうほどの美少女。あさりによると、メアリちゃんはハーフで、一ヶ月前に日本に来たのだと言います。外を歩くと皆がメアリちゃんの事を可愛いと思っているのがわかり、そんなメアリちゃんと友達でいるあさりは誇らしい気持ちでいました。しかし浮かれているあさりにタタミが「ブスのあんたは引き立て役よ」と言った事で、あさりの心情にも変化が訪れ、メアリちゃんと自分の外見の格差を身に染みて感じてしまい、妬みや惨めさから「引き立て役はもうごめん!絶交!」とメアリちゃんを一方的に突き放してしまいます。
これをきっかけにあさりは自分の容姿に対する不満が噴出。そしてまたしてもそのやり場のない気持ちをあさりに歩み寄ろうとするメアリちゃんに向けてしまい、二人の友情は修復不可能なところまで及んでしまいます。
ていうかこの話、めっちゃ重くないですか?
お前があんな事を言わなけりゃ
前述した通り久しぶりに読み返しましたがこんなにヘビーだったんだ‥、という感想です。あさり位の年齢ともなれば「自分の容姿のレベルは一体周りからみてどのくらいなのか」と気にするようになるのも当然です。で、この話でまさしくあさりは自分が「誰がみても可愛いレベル」という容姿ではない事に思い悩みます。ある程度の年齢になっていれば賛否はあるものの、美容整形を考えるとかメイクで何とかする、とかそういう領域に入るわけですが(それはそれで色々しんどい物があるが)、何せまだ小学生ですからね。ママの胸に飛び込んで「もっとかわいく産まれたかった」とわんわん泣いたりするところはあさりの子供らしさを感じつつも、ずっしり来ます。
あさりはこれまで自分の姿を鏡で見て「美しい」とうぬぼれたりするシーンはありましたが、今回はいわば現実を突きつけれられたというわけです。何より容姿の格差を感じる対象が、芸能人とかではなく身近な友達というところがあさりが感じる惨めさを増大させているのがわかり、それが非常にリアルでこの話をより重くさせています。と、同時にメアリちゃんとの友情を絡めた事で、この「人間の外見」という一見落とし所が難しいテーマをうまくまとめていて、老若男女問わず伝わりやすい作品になっています。
これまでいくつか「笑えない」という感想の作品はありましたが(157話、160話など)、この話もあんまり笑える話じゃないですね。しかし「つまんない」というわけではなく、完成度は非常に高いです。
一方のあさりとメアリちゃんの友情に亀裂が入るきっかけを作った張本人であるタタミなんですが
タタミ「現実はザンコクだわ。でも、自分の顔に対する自覚はもってなきゃ。」
と全く悪びれずに冷静かつ残酷な言葉。大人になるにつれて自分の容姿に対しては受け入れというか、諦めがついてくると思うんですが、ある意味この言葉はその領域に達してる大人目線の意見に思えます。加えてタタミは「美しさというのは時代によって感じ方が変わる」というこれまた普遍性のある言葉であさりにアドバイスをします。ここらはあさりとメアリちゃんの関係云々というよりかは美に対する一般論のような物が書かれてるな、という印象です。具体的に平安時代の美の基準などが描かれていて、なかなか勉強になります。
とは言え今回のこのあさりとメアリちゃんの一件はタタミが悪いって事でいいですかね?