あらすじ
あさりの元に突然死神が現れます。死神はあさりに「その昔何人もの乙女を殺した極悪人がいた。そんな人間は地獄でずっと苦しみ続けなければならない。しかしなぜかそいつは生まれ変わっていた。今からでもつかまえて地獄送りにしなければならない。」と説明。何とあさりがその極悪人の生まれ変わりだと言うのです。死神は信じようとしないあさりを説得するために一緒に過去に戻ります。
唐突に現れた死神
過去に戻ったあさりと死神は大きな屋敷の中を覗き、例の極悪人を確認することに。そこにはタタミに瓜二つの女性がいました。あさりが「あれはタタミおねーちゃん」と笑いますが、死神はあさりに「あれは間違いなくお前だ」と断言。あさりは女伯爵アサリーナというその女性による人殺しを阻止して歴史を変えることを決意。死神の制止を振り切ってアサリーナの元へ走って行きます。
アサリーナの目的は若い娘の生き血を浴びること。そうすれば美しくなれると信じているのです。室山先生お得意の血の絵が今回も満載です。
有害図書待ったなしになる
最後にしっかりと「エリザベートバートリー」という人名が記されているんですが読む人が読めばすぐに誰をモチーフにしたかわかる作品ではないかと。エリザベートバートリーは1560年生まれのハンガリーの貴族です。史上名高い連続殺人者で「血の伯爵夫人」という異名を持つそう。
私はエリザベスバートリーの存在は当初知りませんでしたがこの話を読んでから「美女の生き血で美しくなる」という言葉を目にした時は「ああ、あれか」と思った次第です。
アサリーナが生き血を欲しがる動機が「美男美女の両親に似てないから」というものなんですが、この動機は低年齢の読者に伝わりやすいでしょうね。エリザベート自身は倒錯した嗜好の持ち主だったようですがそんなの学年誌とかに載せらんないですから。
しかしかつての極悪非道な歴史上の人物をよくこんなギャグを交えて描けるなと。もっとページがあればさらに掘り下げられたのかもしれないなと思うので、ぜひ長編でこういうのをまた描いてください。