喧嘩をやめて 私のために争わないで
あさりの妄想が、自作の漫画の中で炸裂です。まず最初に一人の女性を二人の男性が奪い合うという内容のものが登場します。実際同じ経験をしたことがあるという女性が昔テレビで話してましたが、その状況が嬉しくて仕方ないが故にしばらくそのまま過ごしていたところ、いつの間にかどちらの男性も目の前から消えたそうです。
悪口だとは全く思っていない模様
あさりが漫画を描いていました。主人公のあさりが男の子にモテモテという内容のもの。現実とあまりにかけ離れてる内容である事を、タタミにバカにされます。しかしそんな中あさりに想いを寄せる美少年がいたのです。
あさりが描いていた漫画から始まります。内容は二人の美男子があさりを奪い合い、決闘することになる‥という陳腐な内容。あさりが席を立った間にタタミがその漫画に勝手に続きを描き込みます。
続きとは言ってもタタミは絵が下手なので突然絵柄が変化、というか劣化。内容としては、あさりを奪い合っていた美男子二人は「あさりよりも自分達の友情を大事にしよう」ということになり(ていうか突然気が変わりすぎ)
「あさりを殺しちめ〜〜!」
とあさりに発砲し、めでたしめでたし。
倒れてるあさりの横で笑顔で握手するこの美男子二人、サイコパスか?
リアルでは全然モテないくせにとタタミにばかにされてあさりは怒りますが、この直後あさりに思いを寄せる美少年が登場。彼はあさりの魅力をこのように語ります。
「頭がデカくて足が短くてデカ目でちんちくりんのすっごくかわいい子なんだ。」
顔を赤らめ、笑顔で嬉しそうにナチュラルに容姿をディスります。
逆に彼氏ができたりしたら描く意欲が減るかも
久しぶりに読み返してもタタミが描き足した漫画はやっぱり良い。あさりが描いた画力の高い漫画から突然タタミが描いた下手くそな絵の漫画の絵の落差だけでも面白いです。特に前述した「あさりを殺しちめ〜〜」の下りが最高です。
で、その漫画をもとに、タタミはリアルと漫画の世界があまりにかけ離れてる事を馬鹿にされますが、その直後あさりに思いを寄せる美少年登場する展開に。
しかしせっかく目の前に自分に告白しようとしてる男の子がいるにも関わらず、勘違いしたあさりは自らの行いで全てを終了させてしまいます。まあお約束の展開といったところですかね。
しかしこの話、今読んでみるとなかなか興味深い側面もあるなと。というのはあさりはモテないという現実の中で、「モテモテになった自分が主人公」という漫画を描いて現実と理想との乖離を埋めてるわけです。「将来の夢は漫画家」と言ってるくらい漫画を描くことが好きなあさりですが、四年生にして夢中になれるものがあるのは素直に良い事だと思えます。なおかつその中で現実と理想との折り合いを付けているのだなと感じました。そう考えるとあさりがモテない間は女性読者がカタルシス感じまくりの作品を描き続ける事になるのでしょう。